ネットワークオーディオプレイヤーの作成(ハード編)

Beagle Bone Black

前回までの検討で一応botic_demoの環境でネットワークオーディオプレイヤーとして常用できる目途が立ったのでBeaglebone Black(BBB)を含めて箱に詰め込む事とする。
ただし、箱と言っても紙箱だ。




小物入れに使っていた、多分財布の個装箱だと思うがそれに詰め込んだ。
logicoolのワイヤレスキーボード用のUSB延長スティックを用いるとピッタリなので惚れ込んだからだ。
ただ、工作としては稚拙極まりない。

想定する使い方としては以下の2通り。
・USB WiFiドングル経由でNAS上のm4aやmp3といったロッシーな形式の楽曲ファイルを再生する。
・ethernet接続でNAS上の、もしくはUSBストレージ上のロスレスな形式の楽曲ファイルを再生する。

前者は休日にNAS上のiTuneライブラリをBGM代わりに家族で聴く用途で多少音飛びやノイズは許容することとする。
実際問題として音途切れなしでWiFi経由での楽曲データ再生はMP3等のロッシーな楽曲ファイルでも大変難しい。
しかしながら、手持ちのCDは殆ど全てNAS上のiTuneライブラリに入っていて、これらをリビングで手軽に聴く方法が自分にとって必要であった。

尚、やってはいけないこととして、USB WiFiドングル接続でNAS上のロスレスなファイルを再生すること。
これをやるとWiFiの帯域を楽曲データで食いつぶしてしまい、楽曲再生がまともにできない上に、LAN上のMPDクライアントからのコントロールができなくなってしまう。

ethernet接続であればNAS上のロスレスな楽曲ファイルの再生を行うことができる。
または、USB WiFiドングル接続でも、USBストレージ上の楽曲ファイルの再生は問題ない。
USB WiFiドングルとUSBストレージを同時に使う場合は外部給電可能なUSBHUBが必要。

運用としてはWiFiベースで使用する場合は前面のUSBコネクタにWiFiドングルを装着し、 ethernet接続ベースで使用する場合は前面のUSBコネクタにUSBストレージを装着する。

PCM5122 I2S I/F DACはブレッドボード構成のままでは不安定なのでユニバーサル基板上に組み替える。
組み替えるにあたり、今までの検討結果を反映し多少回路構成を変えた。
今回作成した構成での回路図を示す。

部品表も以下に示す。

記号キゴウ 型番 仕様シヨウ/諸元ショゲントウ 定数等 数量 入手ニュウシュサキ
C1~C6 GRM188 チップ積層セラミックコンデンサ 1608 0.1μF 6 秋月電子
C7,C8 ルビコンフィルムコンデンサ 0.1μF 2 秋月電子
C9 ケミカル電界コンデンサ 470μF 1 秋月電子
C10~C12 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ 330μF 3 秋月電子
C13 ケミカル電界コンデンサ 10μF 1 秋月電子
C14,C15 WIMA MKS2 メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 2.2μF 2 サトー電気
C16,C17 ポリプロピレンフィルムコンデンサ(G級) 2200pF 2 サトー電気
R1~R4 チップ抵抗 2125 22Ω 4 サトー電気
R5~R9 アキシャルリードカーボン抵抗(1/4W) 5.6KΩ 5 秋月電子
R10~R12 金属皮膜抵抗(1/4W) 470Ω 1% 3 秋月電子
L1,L2 BLM21PG331SN チップインダクタ(フェライトビーズ) 2012 330Ω±25% 2 秋月電子
D1 LT3U31P 3mm 赤色LED 1 秋月電子
U1,U2 NJM2863F33 ローノイズ低飽和型レギュレータ 3.3V100mA 2 秋月電子
U3 PCM5122 オーディオ・ステレオ DAC 1 RSオンライン
DB3 D028 SSOP 28ピンICピッチ/DIP変換基板 1 マルツパーツ館
DB1,DB2 SOT23/DIP変換基板 金フラッシュ 2 秋月電子
片面ガラス・ユニバーサル基板 1 秋月電子
(ブレッドボード配線パターンタイプ)
JP1~JP8 丸ピンICソケット(シングル40P) ※ 1 秋月電子
ICソケット28P
600mil 板バネタイプ
1 秋月電子
3.5φ
ステレオジャック パネル用
1 サトー電気
RCAジャック
パネル用
赤・白各1 2 サトー電気
2.54mm用フラットケーブル オス-オス ※ 40P 20cm 1 サトー電気
(QIコネクタ コード付き)
※必要に応じて切り分

秋月電子で購入できるブレッドボード配線パターンタイプの片面ガラス・ユニバーサル基板は多少の制約があるもののブレッドボードの構成をそのまま移植できるので作成期間を大幅に短縮できる。
今回このユニバーサル基板を用いることとした。
部品配置図を以下に示す。



通常のユニバーサル基板とは違いホール間が結線されているが、パターンカットを行うことでブレッドボードでは実現が難しいチップ部品の実装ができる。
ブレッドボード上ではスペースの制約上セラミックコンデンサを用いていたが、それなりのコンデンサに置き換えて出力段のLPFを含めて一枚の基板上に配置した。
面倒な結線が殆ど省略できるので、3つのdaughter board(DB1~DB3)を作成できれば、後は小一時間程度で完成できる。

デジタル電源/グランド間に付けていた10μFのコンデンサはBBBの誤動作の原因になるようなので省略した。
同様にアナログ電源とチャージポンプ電源はSYS_5VからるとBBBの誤動作の原因になるのでVDD_5Vから取ることとした。
電源は前回作成したCGIで一旦オフにした後、ACアダプタを引き抜き、再電源投入まで10秒程度空ける運用とする。

SSOP 28ピンICピッチ/DIP変換基板D028にはC5,C6とC7,C8を実装している。
また、9番ピンと10番ピンは変換基板上で短絡している。
DACのドーターボードDAC_DBは28ピンICソケットを介して接続した。

一応完成した基板の写真を以下に晒す。

R1~R4のダンパ抵抗とL1,L2のフェライトビーズはパターンカットしてそこに実装している。
また、各デングラもパターンカットすることにより分離している。

3.5φステレオジャックおよびRCAジャックへの配線は3ピンオーディオ同軸ラインを適当にカットして用いている。
3.5φステレオジャックおよびRCAジャックへの配線以外はQIコネクタコード付き2.54mm用フラットケーブル オス-オスをバラして使用している。
I2Sの結線として20cmのコードは長すぎと思われるがそれなりの音で鳴ってくれているので放置している。
本来は最短のコード長とするか、せめてヨリ対線にするべき。

BBBとDACとの接続は以下の通り。

I2S_LRCK:P9_29
I2S_DIN:P9_30
I2S_BCK:P9_31
I2S_SCK:P9_25
I2C_SCK:P9_18
I2C_SDA:P9_17
VDD_5V(CP):P9_5
VDD_5V(A):P9_6
VDD3.3(D):P9_3
GND(CP):P9_1
GND(A):P9_45
GND(D):P9_2

基本前回までに作成したbotic_demoのmicro SDカードで動作させることができる。
ただし、箱に入れる以上、micro SDカード上のファイルを入れ替えるのは操作性に欠ける。
16GBの容量は無駄なので、4GBのカードで作り直した。
一応ネットワークオーディオプレイヤーを作成できた。

尚、ここで作成したものはあくまでもユニバーサル基板を用いた工作レベルのものであり、音質を追求したものではない事を強調しておく。

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