挿絵画家になろう(その9)


「挿絵画家になろう(その9)」です。
これまでBlenderのアドオン、MB-Labの啓蒙として記事を連ねてきました。
MB-Labを使って秀逸な少女キャラクターのメッシュオブジェクトを生成し、VRoidStudioの髪をインポートして装着させ、そこそこの服を着せ、キャラクターのマテリアルも弄れるようになり、表情も変更できるようになり、同梱のポーズを組み合わせて新しいポーズも作れるようになりました。

で、やはりネックは服なんですよね。
その2」でネット上の情報をもとに縫合スプリング機能を使って簡易的な袖なしTシャツを作る方法を紹介しました。
また「その4」ではワンピースを作る方法を紹介しました。
でも襟は無いし、半そでだしで多分これだけでは満足できないですよね?

私としても服を自由に、そして簡単に作る方法を模索し続けているのです。
でも、無料の良いソリューションを見つけることができていません。
もしご存じの方がいらっしゃったら是非ぜひお教えください。

縫合スプリングを使う方法は、私自身、あまり良い方法とは思っていません。
Tシャツなどの簡単なものならば良いのです。
しかしやってみると分かるのですが、少しでも凝ろうとすると難易度が跳ね上がっていきます。

私も縫合スプリングを知った当初は、実際のドレスシャツの型紙から各パーツを作れば良い、なんて考えていました。
しかしパーツの数が増えると、縫合線を結ぶ事自体が難しくなります。
襟や袖を離れたところから縫合しようとすると移動の途中で変形してしまい、もとの形状が失われてしまいます。
綺麗に縫合するには変形後の形状を合わせる必要があり、複雑な形にするにはかなりの研究が必要です。

実際の縫製用型紙を作るのも難しいのでしょうが、縫合スプリングではまた別の難しさがあるのだと思います。

縫合スプリングで複雑な服を作るには、それはそれで深く険しい道なのだと思います。

それでも、単純な形状ではそれっぽい服を作成できるのが縫合スプリングの良さだと思います。
今回と次回で、同じような襟付きの長袖ワンピースを別の方法で作成していき、差を見ていきたいと思います。

ということで今回は縫合スプリングを使った方法です。
変形前の素材を以下に置いておきます。
clothe_onepiece_spring_mat.zip

この素材はMB-LabのAnime_Female(F_AN02)のデフォルトキャラクターに合わせて作成しました。
ZIPファイルには以下のファイルが梱包されています。
clothe_onepiece_spring_mat.obj
clothe_onepiece_spring_mat.mtl
onepiece_txt.png

MB-Labで適当なキャラクターを生成して後にインポートしてください。
次のアニメーションのように首に丸い輪っかを通すようにして全体を整えます。

マテリアルの設定は以下のようにします。

UVマップが非常にシンプルです。
縫合スプリングで服を作成する場合、元の形状が平面であるため、[スマートUV投影]でもほぼメッシュ通りの分かりやすいUVマップとなります。
色を塗るにしても、柄を書き入れるにしても非常に便利です。
これはスプリング縫合方式のメリットの一つです。

さて、パラメータにもよりますが、仕上がりは以下のようになります。

クロスモデファイアを使う場合、通常では[クロスフィールドの重み]をデフォルトにしておくと、いい感じに乱れます。
この乱れがリアルな皺を作ったり、縫合を徐々に密なものにしてくれたりしているわけです。
しかし、襟がある場合は少しの乱れでも大きく暴れてしまい、意図した所に収まらなくなります。
許容できないので、[重力]、[全て]、[力]、[空気抵抗]のみ1にして、他は0にします。
その他、[クロス]の[空気抵抗]も0にします。
このように、小さなパーツを含む場合は、気を付けなければならない所が多くなります。

風等の乱れがまったくないため、クロスモデファイアをかけ続けても、変化は少ないです。
縫合もあまりきちっとはされません。
縫合しきれなかった部分が筋となって、地肌が見えてしまっています。
これは手動で縫うか、レンダリング画像を2Dペイントツールで補正すれば良いでしょう。

いかがでしょうか?
複雑さとシンプルさの微妙なバランスに苦心しました。

正直な話、襟の造形のために他の部分を犠牲にしている感があります。
襟を含めて一度で造形するより、襟なしで一旦クロスモデファイアをかけたあとに、改めて襟を作りこんだほうが良いかと思います。

今回の作例では襟のメッシュは以下のようになっています。

この円形の襟の部分を変更すれば別の襟にすることが(理屈上)できます。
とは言え、スプリングによって引っ張られてしまい、完成後の造形予想は難しいものがあります。
特に襟足の高い造形は非常に難しいです。

ワンピースをマリアに適用してみました。
デフォルトのキャラクターと体形が違いすぎて、素直には適用できません。
同じ比率では首が太すぎ、かつ短すぎでBodyに干渉してしまいます。
首が乗っている四角形の外枠の形を変えないよう気を付けながら、ワンピースの首を太く、短くしてBodyと干渉しないように変形させて適用しています。

結局、同じ服をグラマーな大人キャラクター、スレンダーな子供キャラクタ―で共有するのは、色々難しい課題があります。
スレンダーボディに合わせると、必要以上にボディラインが強調された服になってしまいます。
グラマーボディに合わせると、胸が余った服になってしまいます。
結局はキャラクターごとに服をワンメイクで作る必要があるのでしょうか?
それでも縫合スプリングは元のメッシュが単純なため、ターゲットに合わせこむ手数は少なくて済みます。

と、いうことで今回は終わりです。
時間があれば[その10]を書きたいと思います。


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