King’s Gambit


黒灰色(こっかいしょく)の魔女と時の魔女 』、『第五章第三話(三)キングズ・ギャンビット』更新します。
恒星船の中、一人で居るアウラを憐れんで、『教師エリフ』はアウラにチェスを教えます。
初めてのチェス、白番(先手)でアウラは教わりもしないキングズ・ギャンビット・オープニングを指す、というお話です。
読んで下さいね。

絵は『乳母サリー』の中の人であるサリーのイメージです。
この人も『教師エリフ』の中の人、エリフ同様に年齢不詳です。

まあ、あんまり小説展開上の話はできないのですが、使わせていただいている棋譜は実際の対局のものです。

Paul Morphy vs Eugene Rousseau (1849) Reap What You Rousseau

本局にはキングズ・ギャンビット・オープニングで白番の快勝のものを探していたら巡り合いました。
白番は1800年代後半の有名なチェスプレイヤー、ポール・モーフィーです。
黒番はユージン・ルソーという人ですが、私は良く知りません。
年代が違うので、有名なサクソフォン奏者とは別人です。

本局はポール・モーフィーが十二歳の頃の対局らしいです。
キングス・ギャンビット、つまりポーンのサクリファス(タダ捨て)から始まって、ナイト、ポーンと次々にサクリファスしてゆく派手な展開です。
上のリンクで譜面が再現されていますので是非追ってください。
小説の中では黒番が途中でリザイン(降参)しますが、実譜ではキッチリと詰んでいます。

小説を書くものとしては対局系ゲームの描写に興味があります。
『ヒカルの碁』や『ハチワンダイバー』など、ストーリーもモチロン面白いのですが作中の対局がリアルで、譜面を検証することが楽しみの一つです。
作者自身の棋力も相当高いのでしょうね。
更にはプロの棋士の監修が付かれていてリアリティを倍加させているようです。
凄いな、と思う反面、クオリティを保つことはアマチュア小説家では難しいのかな? という思いもあります。

とはいえ、昨今のAIの発達は恐ろしいものがあります。
将棋などの解説を見ていても、AIの推奨する指し手に至れるか否かが勝敗を分けるとか。
ツールを駆使すればかなりリアリティのある対局を記述することができるかもしれません。

今回チェスの対局チェックにSCIDというツールを使わせて頂きました。

http://scid.sourceforge.net/

このツールは一手一手指し進めるごとに検討が行われ、どこで手を悪くしているのか等の検証ができます。
SCIDの高評価の手を指し続ければ、アマチュア相手ならそうそう負けないのでしょうか?

キングズ・ギャンビットとは序盤でポーンを犠牲にして戦略的主導権を得る戦法です。
チェスで言うサクリファス、将棋での捨て駒、これらは自陣の王を詰まされる前に相手王を詰ますという明確な目的のために、ときとして必要な手段となります。
ただしゲームではなく実際の戦いにおいて、勝利のためにどこまでサクリファスできるか。
そもそも勝利とはなんぞや?
そういったことを考えつつ。


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